在中日系企業の現地調達は拡大継続
――蘇州日中調達フォーラムについての報道(第一財経)
人民元切り上げ後、日本企業は中国における投資を縮小するであろうと予想する報道が目立ったが、先日蘇州にて開催された日中製造業国際調達フォーラムにて明らかにされた情報によると、在中日系企業は更に中国における調達を進めているとの事である。
同フォーラムは、「アジアプロキュア」(至亜網絡技術上海有限公司)と日本富士通グループの共催で行われた。株式会社アジアインフォネットの社長佐井強氏によると、中国企業は日本企業のライバルでもあり、もっとも重要なサプライヤーである。特に大型機電製品、自動車メーカーなどは中国での部品調達をより強化している。日立製造所の2005年調達目標は37億米ドルとしており、ソニーはこの三年以内に総調達額を5倍に増やすと宣言している。NECは中国での調達総量を2000億円まで伸ばす計画。NEC国際市場向けの携帯電話もそのほとんどを中国工場で生産しており、ソフト関連の調達も110億円まで達す見込みである。
実際コストダウンのポイントは現地調達の拡大にある。「理由は簡単で、輸入調達は企業のコストをおし上げる」JETRO上海代表所次長高原正樹氏は指摘する。現在、在中日系企業の調達エリアさらに集中化が進んでおり、日系企業は投資地域にまず上海と蘇州を選ぶ。2005年には更に大幅な上昇率を示し、6割が華東地区に集中している。
高原正樹氏はこう述べる。「中国の華南地区における調達は20%にのぼるが、日系企業は調達エリアを華東地区にしぼりたいところだ。しかし、日系製造業企業の中国調達量は高くなく、現地調達は47%にとどまり半数にも満たず、継続投資の余地は非常に大きい。部品調達の現地化は日系企業の課題で、人民元の切り上げ、人件費の上昇などに伴い、コストダウンの為には調達コストが減少するのが一番有効な方法となる。又、中国に進出していない日本企業からは、中国から部品の輸入調達をしたいという声も多い。」
東芝国際調達(香港)有限公司の董事総経理村井博氏によると、去年東芝の中国における調達総量は150億人民元にのぼったが、うち在中外資系企業からの調達が90%を占めている。中国現地企業からの調達量はまだ非常に少なく、10%しかないという。
多くの中国ローカル企業は、いまだハイエンド製品の対応力が不十分で、組立工程はある程度の実力を持っているものの、コア技術の分野は依然外資系企業とは競争にならない、と村井氏は指摘する。「現在、組立工程に関しては人件費が非常に安いので、ローカル企業への委託加工は益々拡大しており、同調達も大幅に上昇してある。適切なローカル企業があれば、東芝も現地のローカル企業への調達を勿論拡大していきたい。」と述べた。